重陽の節句ってご存知ですか?
お節句といえば3月3日や5月5日など、子供が主人公の節句があるのでかなりマイナーな節句なのですが、実はこの重陽の節句も悪霊退散や無病息災など、子供の健康にもかかわる願いを込めた節句です。
コロナウィルスの蔓延以降、生活にも様々な影響が出てきました。
そんな時こそ、節句の意味をしっかり汲んで、丁寧に行事を過ごしたいもの。
菊の節句といわれるこの重陽の節句は赤ちゃんになじみのない菊だけが行事食ではないのです。
今回は重陽の節句の由来を中医学的に掘り下げ、さらに赤ちゃんでも楽しめる重陽の節句の食材をご紹介します!
重陽の節句って何?
重陽の節句とは、ズバリ、9月9日の節句を差し、別名菊の節句、とも言われます。
季節の節目になる〇〇の節句、といえば、
1月7日の七草がゆ(人日の節句)
3月3日の桃の節句(上巳の節句)
5月5日の子供の日(端午の節句)
7月7日の七夕(七夕の節句)
と、なんとなくどんなものを飾るかとか、何を食べるかがなんとなくイメージできる行事ばかりですよね。
そんな中、重陽の節句だけ、あまりイメージがわかない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
かくいう私も、この節句の存在を知ったのは中医学を学ぶようになってからです。
重陽の節句は「陽が重なる」が由来
ところで、先ほど挙げた5節句、すべて奇数の月の奇数の日になっているって気づきましたか?
日本では、奇数といえば、割り切れない数字なので、縁起がいいとされていて、よく結婚式のご祝儀なんかでは3万円とか5万円とか包んだりしますよね。
その理論で行くと、3月3日も5月5日も奇数が重なってすごく縁起がいい感じがします。
東洋医学の元になっている陰陽の考え方では、奇数を陽、偶数を陰とするので、やっぱりなんだか縁起がよさそうです。
しかし、陰陽の考え方の中に、「陰陽転化」といって、一方が強くなりすぎると、一方に変化してしまう、という考え方があり、陽が重なることで陰になってしまう!というところが不吉とされていました。
陰陽転化の考え方は私、結構好きで、自然界でいうと、夏がめっちゃくちゃ暑くなる(=陽が強くなる)と、こんどは暑いのと正反対の寒い冬に向かっていく(=陰に方向転換する)というのが一番わかりやすいかな、と思います。
ちなみに、赤ちゃんは「陽のかたまり」として生まれてきて、「陰のかたまり」であるおじいちゃんおばあちゃんに向かっていきます。
話を元に戻すと、数字の9は奇数の中で一番大きい、ということは陽が一番強い数字です。
それが2つも重なるなんて!!陽の力が強すぎてえらいこっちゃ!!この強い邪気を払って長寿を願おう!というのがこのお節句の始まりなわけです。
不吉なのでお祓いの意味合いが強かったお節句も、今では縁起物になってはいますが、中医学を学んでいると、この9月のお節句こそ、陰陽を感じながら大事にしたいな、と思うんですよね。
11月11日は?とちょっとよぎりますが、中国の陰陽五行学説的に考えると陰陽で2つ×五行で5つ=10なので10以上の節句はないんですね。
数字は0~9までで一通り、とも考えられます。
そんなわけで、11月11日はただのポッキー&プリッツの日です(笑)
重陽の節句は無病息災を願う節句
菊の花は「翁草おきなくさ」「千代見草ちよみくさ」「齢草よわいくさ」などと言われ、邪気を祓って長生きする効果があると信じられていました。
今でも京都の上賀茂神社では、この重陽の節句に菊の花を供えて、悪霊退散、延命長寿、災難除けを祈願する重陽神事が行われています。
重陽の節句の食べ物といえば?
菊花
重陽の節句の食べ物といえば、一番初めに思い浮かぶのは菊の節句なだけに「菊酒」です。
菊を浮かべたお酒で長寿を願う…なんていうと、離乳食期のベビーには気が遠くなるほど先の話で、関係ないなー、なんて思ってしまいそうですよね。
私も菊酒のイメージが強かった時には、平日で明日も仕事な日にわざわざ菊買ってきてお酒飲むなんて、無理無理!とスルーしがちでした(笑)
しかもね、菊花、確かにスーパーで売ってないこともないですが、わざわざ買う食材でもないし、お刺身についてても一瞬でよけられる子じゃないでしょうか?(笑)
東北地方へ行けば、菊のり、といって、菊の花をシート状にしたものがあったり、50円玉のデザインにも菊が採用されていたり、決して近からず遠からずな食材ではあるのですが、なにせメインにし難い。
菊花は漢方薬にも使われていて、頭痛や目の疲れにいいという効能をもっているので、PCやスマホで目が疲れているママやパパにはお勧めの食材ではありますが、離乳食期の赤ちゃんには不要と考えます。
そこで、離乳食では、マッシュしたさつまいもなんかで、和菓子の要領で菊花を作ってみようかな、と思います!
菊花のお茶も大人はおすすめです◎
菊そのものが食べられないならスルーでいいかな…と思っているあなた!
ちょっとお待ちください!
菊花以外にも離乳食期の赤ちゃんでも楽しめるお節句食材はありますよ!
順にご紹介していきますね。
栗ご飯
もともと、重陽の節句は秋の収穫祭的な意味合いもあったため、収穫祭で食べられていた栗ご飯を炊く習慣もあるんです。
栗はビタミンCがたっぷり含まれた秋の味覚!
薬膳的に足腰を丈夫にして呼吸器トラブルの改善にもオススメな食材なので、栗が食べられる離乳食後期ごろから試してみるといいですね。
ちなみに息子は甘栗をひとかけらかじっていましたよ。
茄子(秋ナス)
「9の付く日に茄子を食べると中風(ちゅうぶ:悪寒や発熱などの風邪の症状)を病まぬ」
という言葉があり、特に秋の収穫祭の時期は9日(くんち)に健康を祈って茄子を食べていたようです。
茄子は薬膳的には血の巡りを良くしたり、胃の不快感をとってくれる食材ですが、身体を冷やす食材です。
「秋ナスは嫁に食わすな」という言葉がありますが、これはおいしい茄子を食べさせるもんか、という嫁いびりの言葉ではなく、身重の嫁が身体を冷やしては大変!という気づかいの言葉なんですよね。
離乳食でも茄子は薬効の高い皮部分は取り除かなければいけませんが、離乳食中期ごろからOKで、あくを抜けば淡白な味なのでどんなメニューにも合わせやすい食材でもあります。
冷やす効能が気になる用だったら、かぼちゃやネギと一緒に煮ものやスープにしてもよさそうですね!
まとめ
・重陽の節句は9月9日。
・離乳食期には菊(を模したもの)、栗、秋ナスでお節句ご飯を作ってみましょう!
まだまだ暑い日もおおい9月初旬ですが、秋らしい食材とお花で秋を感じるひとときにしてみてくださいね!
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