土用の丑の日、あなたはうなぎたべますか?
残念ながら離乳食期の赤ちゃんにはうなぎはお勧めできませんが、実は夏の土用の丑の日って赤ちゃんにとっても、是非押さえておきたいイベントであることをご存知ですか?
うなぎが食べられない離乳食期でも楽しめる方法があります!
今回は、そもそもなぜ土用の丑の日が大切なのか?
うなぎを食べるようになった理由って何なのか?
そのあたりをしっかり掘り下げて、より土用の丑の日の重要性を感じたうえで行事食にチャレンジしてほしいな!と思って熱く語ってみました!
では早速進めていきますね!
土用とは?
土用といえば、夏の土用の丑の日を連想しますが、春夏秋冬すべての季節に存在します。
立春・立夏・立秋・立冬、という季節それぞれが始まる日の前約18日間を「土用」と言います。
つまり次の季節に移り変わるための準備期間、ということですね。
季節の話なのに急に「土」ってどういうこと??って感じですが、これは東洋医学でよく出てくる五行に由来したものだから、と考えるのがよさそうです。
東洋医学の世界ではすべてのものを5つのものに分類する五行学説という考え方があります。
その5つとは自然界に存在する木・火・土・金・水
自然界に存在するこの5つのものに似ている働きや性質を持っているものをグループにしていくかんじです。
そんなわけで、
春はいろんな動植物がのびのび成長する季節だから「木」
夏は暑いから「火」
秋は種実が実ってエネルギーが固いバリアに包まれるイメージで「金」
冬は寒くて冷たいから「水」
そして、それぞれの季節をうまく巡らせるための土用の期間は、いろんな動植物が命を育んだりする場所であるイメージの「土」に分類する
こんな風に考えるとちょっとしっくりきませんか?
では土用の丑の日って何なのでしょう?
土用の丑の日とは?
丑の日、というのは十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の「丑」です。
十二支の日どりを気にする例として一番メジャーなのは妊婦さんが安定期に入って腹帯をして安産祈願をする「戌の日」っていうのがありますよね。
それと同じです。
毎日十二支があてはめられていて、仮に今日が寅の日だったら、明日は卯の日です。
つまり土用の18日間もしっかり十二支が割り振られていて、
2021年の土用の丑の日は7月28日(水)の一回だけです。
約18日の間にこの12日がどのようにハマるかで変わってくるので、来年の2022年は2回あります。
なぜ夏の土用だけ取り上げられるの?うなぎを食べる理由は?
先ほどもお話ししたように、土用は季節ごとに4回あります。
ですが、さあ!うなぎを食べよう!っていう話になるのは夏の土用だけです。
(たまに他の季節の土用にうな重を売ろうとしているコンビニやスーパーも見かけますが(笑))
なぜ他の季節ではなく夏なのか、というと、季節の移り変わり方が他と違うからなんです。
どういうことか、ここですこし、五行のお話をしますね。
わ―この図、薬膳の本に良く載ってるやつ!!
怪しげでスルーしたくなる気持ちをちょっと抑えて聞いてください(笑)
意外とそんなに難しくないんです。
五行で出てくる自然界に存在する5つのものはこの図のように関わりあっています。
一番上から時計回りに、
木⇒火⇒土⇒金⇒水は相生(そうせい)といって、それぞれを生み出す関係、
木→土→水→火→金は相克(そうこく)といって、それぞれを攻撃したり、制御する関係です。
手を取り合って丸く輪になっているだけだと、誰か一人が暴走したら輪全体がすぐ乱れてしまいますよね。
そこで、一つ飛ばした先を制御することで、輪が簡単に乱れないようにうまくバランスを取り合っているんです。
夏の土用はこの対応する季節がポイント。
普通の四季の移ろいの春→夏→秋→冬について、この表に基づいてみてみると、
春から夏、秋から冬、冬から春は相生の流れで移り変わるのでそれぞれの季節のエネルギーをうまく次に回していけるのに対し、
夏から秋に移り変わる時は(土用をはさんではいるものの)相克関係の季節に移るので、このままでは夏のエネルギーが秋を攻撃してしまうんですね。
逆に言えば、この土用をしっかりはさまないと秋を迎えることはできないわけです。
昔は夏に疫病が良く流行ってたくさん死者が出たりしていたことからも、「夏を越すのはただ事ではない」という意識につながっていたのかもしれません。
そこで、この燃え盛る夏の暑いエネルギーを中和するのにどうするか?
そうです、火は水で消します!
さらに夏の土用が未(ひつじ)の月で冬の土用が丑(うし)の月にあたるので、
土用の中でも「丑」の日に、「水」の中にいる「う」のつくものを食べることでバランスを整えよう!
というのが、「土用の丑の日にうなぎ」というところにつながってくるんです!
この図を見るとさらにわかりやすいですね!
土用の丑の日は旬じゃないうなぎ(実はうなぎって冬が旬なんですよね。)を売るための陰謀説、というのもよく聞くお話で、諸説あります。
が、中医学の観点からみて、私が一番納得しているのが、今お話しした説です。
この考え方は歳時記を大切にしている和食の大将に教わったんですが、食文化って、こういうところでつながってくるんだなぁって感動したのを覚えています。
あなたも是非この説で納得していただければ嬉しいです。
夏の土用は薬膳の養生においても超重要!
夏の土用は胃腸が弱りやすい
夏の土用は、日本ではちょうど梅雨の時期にあたりますね。
土用=梅雨と思っていてもいいくらいです。
梅雨といえば雨が多くてジメジメして、気温も上がってくるとムシムシして、体がダル重になります。
湿度が高いと体の中の湿気をスッキリ出すこともできず、体の中の湿度も上がってしんどい時期ですよね。
さらにコロナ禍になり、マスクを常時着用すること増えた今、湿気はよりこもりやすくなっています。
その結果、負担がかかるのが胃腸です。
ダル重いと、消化吸収機能が落ちて、消化不良になったり、食欲不振になったりします。
大の大人でも胃腸トラブルになりやすい時期ですから、まだ消化吸収能力が未熟な赤ちゃんはより一層気を付けたいところです。
日本は島国で、基本的に湿度が高めで胃腸が弱りやすい、というハンデがあるんですが、梅雨時期はより一層胃腸を守るケアをしておきたいです。
夏の土用はそんな胃腸のケアにより意識を向けたい時期なのです。
土用の丑のうなぎは薬膳的にどうなの?
うなぎの旬は実は冬なんですが、薬膳的には足腰を丈夫にして、湿気で悪化するリウマチなどの手足のしびれや関節痛に効果があります。
つまりうなぎは梅雨時期などの湿気で悪化するトラブルの改善に良い食材なので、旬ではないのですが土用の丑の日に食べるのは理にかなっているんですね。
また、暑くなる夏に向けてのスタミナチャージとしてもおすすめです。
しかしここで問題なのが、うなぎは赤ちゃんに向かない食材であることです。
その理由としては、(魚の脂なので牛や豚に比べると負担が小さいとしても)脂っこい魚であることと、小骨が多いことがあげられます。
動物性の脂は子供にとっては想像以上に負担になるんです。
うなぎ同様に、サシの入ったお肉や、脂身たっぷり入ったジューシーなミンチなども気を付けたいところです。
お腹を壊したり、下痢になってしまうこともあります。
またかば焼きとなるとお醤油やお砂糖を煮詰めたたれに漬け込まれていて、味がしっかりしているのも離乳食期の赤ちゃんにとってはマイナスポイントですね。
離乳食期が終わったらチャレンジするママさんも多いようですが、うなぎデビューは胃腸の状態がある程度整ってくる3歳前後からが安心だと思います。
ちなみに息子は2歳8か月になっていたことと、たまたまうなぎの白焼きが手に入ったのでデビューしました。
白焼きを一度茹でて余分な脂を落としてご飯に乗せました。
茹でることで余分な脂が落ちるだけでなく、身もふっくらするのでお勧めです。
(かば焼きも一回洗って(!)たれで煮なおすとめっちゃふっくらおいしくなるんですよー!!)
結局のところ、離乳食期のうなぎデビューは絶望的ですよね。
では離乳食期の赤ちゃんと土用の丑の日を楽しむのはどうすればいいのでしょうか?
離乳食期から楽しめる土用の丑の日の「う」食材
土用の丑の日のメイン食材は誰が何と言おうとうなぎなんですが、うなぎ以外の選択肢として「う」のつくほかのものでもOKなんです。
中医学の考えからすると水(海)と関わりのある「う」のつくものが理想なのですが、残念ながら海産物のうのつくのはうなぎくらいしかないですよね。
(うに、もありますね(笑)でも離乳食では絶対無理ですよね(笑))
では陸のもの(?)でうのつく食材を薬膳的にチェックしていきます!
うり(瓜類)
離乳食おすすめ度◎
うり類、ってめちゃアバウトで候補が盛りだくさんになるのでありがたい!
うり類といえば、
・きゅうり(胡瓜)
・かぼちゃ(南瓜)
・ズッキーニ(西葫芦)
・すいか(西瓜)
・メロン(甜瓜)
・ゴーヤ(苦瓜)
とたくさんあります!
うり類はたっぷりの水分が含まれていて水分代謝をコントロールしてくれるという点で、「水」にかかわっているといえるので、土用の丑の日向き!!
ただ、瓜類の欠点は体をすごく冷やす効能を持つものが多いことです。
そんななかかぼちゃだけは体を温める食材なのと、離乳食初期から使える食材なので、離乳食期の「う」のつくものファーストチョイスはかぼちゃに決定ですね!
かぼちゃについてはこちらも参考にしてみてください!
土用が明けたらきゅうりもぜひ!
うめ(梅干し)
離乳食おすすめ度○
梅は薬膳的な効能として三毒を断つといって、「水の毒」「食べ物の毒」「血の毒」を浄化してくれる、という効能を持ちます。
よく、お弁当の痛みやすい時期に梅干しを入れることで抗菌効果になる、という話がありますよね。
このように食べる前の食材の毒を浄化するだけでなく、食べた後の身体の中の血液のドロドロや浮腫みまでデトックスしてくれる、というわけです。
水に係る、という点で、土用の丑の日基準を満たしてるな!と思っています(笑)
しかし、離乳食期で考えるとネックになってくるのが「塩分」。
梅雨時期の食べ物が傷みやすい時期の食べ物の解毒と、食欲が落ちたりする身体を整えるための嬉しい効能ではありますが、梅はそのまま食べることはないので、基本的に梅干しとして食べることがほとんどですよね。
添加物を使用していない梅干しだと、18%くらいの塩分になっているので、結構辛いです。
離乳食で使う時は茹でて塩分を落として、身の柔らかい部分を耳かき1さじ程度、という感じか、塩ゆでを解禁したころに葉物野菜を茹でるときの塩替わりとして使っていました。
行事食なので、気持ち少し取り入れる、というスタンスでチャレンジしてみてもいいですね!
うどん
離乳食おすすめ度△
小麦アレルギーがなければ、離乳食初期から使える食材ではありますが、薬膳的な観点で見ると、小麦はグルテンが体の中でドロドロ(湿熱しつねつ)になりやすいといわれています。
グルテンフリーにすると体が軽くなる、といわれるのは、身体で消化しにくく、ベッタリネットリしたものを控えるからです。
水に係る効能もないのでお勧め度は低めです。
でも、食べられるものがなくて、うどんなら・・・!というママさんは行事食ということでうどんでもOKです。
うし(牛肉)
離乳食おすすめ度 △
牛肉は薬膳的には気や血を補って足腰も丈夫にする効能を持ちます。
やはりもともとが大型動物なのでパワーの大きさが違いますね。
離乳食後期以降で少しずつ食べられるようになる食材です。
効能的にはあまり水と関わりがないという点と、牛肉は赤ちゃんにとって消化の負担になりやすいので離乳食的にはあまりお勧めではありません。
うずら
離乳食おすすめ度○
今回ダークホース的におすすめしたいのがウズラの卵です。
ウズラは水にはあんまり関係はないのですが、体の水分代謝に大きくかかわる「腎」という部分にアプローチできて、薬膳的な効能が抜群に秀でています。
補五臓といって体全体の底上げをしてくれて、子供の栄養不良におすすめな食材であり、足腰や脳を強くしてくれる、まさに子供に嬉しい効能全部乗せなんです!
離乳食中期以降から、卵のチャレンジが済んでいれば是非!
鶏卵のアレルギーよりも反応が出にくいとも言われているのですが、鳥の卵には変わりはないので、慎重に。
アレルギーの心配ない方は是非ウズラもチャレンジしてみてください!
まとめ
・夏の土用は胃腸のケアに最重要な時期!胃腸の機能が弱い赤ちゃんも行事食としてしっかり楽しみたい。
・夏の土用の身体のケアが暑い夏を乗り切るカギ!
・土用の丑の日の行事食のうなぎは3歳前後からが安心。「う」が付くほかの食材の中では「瓜」類のかぼちゃやウズラがおすすめ!
いかがだったでしょうか?
土用の丑の日をより深く理解して、赤ちゃんと一緒にたのしんで暑い夏を乗り切っていきましょう!
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